2024.10.23 不妊治療コラム
【培養室より】採卵できた全ての卵子が受精できるわけではない?~卵子の種類と卵子の成長~
採卵された卵子には種類がある?~卵子の種類と卵子の成長~
こんにちは、ローズレディースクリニックの培養部です。採卵日に採取された卵子には、どんな種類があるのでしょうか?
今回は、採卵で回収される卵子の種類と卵巣の中で育っている過程について詳しくお話しします。 (今回の続きも掲載予定です)
・採卵時に回収された卵子の種類とは?
採卵された卵子は大きく分けて「生存卵子」と「変性卵子」に分けられます。
生存卵子とは卵子が生きており、精子と受精できるくらい質のいい卵子のことを言います。
その逆で変性卵子とは細胞の質が悪く、受精する力がない卵子のことを指します。
そして生存卵子は成熟段階により「GV期」「MI期」「MII期」という3つに分類されます。
・GV期、MI期、MII期について詳しく!
生存卵子は成熟段階によって異なります。
ここではそれぞれの期についてご説明します。
☆GV期
卵子は「卵母細胞」と呼ばれる卵子の元となる細胞から成長します。
この成長は、実は女性がお母さんのお腹の中にいる胎児期に始まっているのですが、途中で一度成長が停止します。
この段階のことを「GV期(卵核胞期)」といいます。この時期の卵母細胞の核(卵核胞)は大きく、はっきりと見えます。
そして思春期以降の月経周期の中で卵母細胞の成長が再開します。
この成長が再開するきっかけとなるのが「LHサージ」です。
※LHサージとは、LH(黄体形成ホルモン)が急激に分泌される現象のことをいいます。
このホルモンが分泌されることによって、卵核胞が崩れて卵母細胞の成長が再び始まるのです。
☆MI期
GV期が終わると、卵母細胞は「MI期(第一減数分裂中期)」に進みます。
この段階ではまだ卵子は卵の核が見えない未成熟の状態のため、受精することはできません。
☆MII期
そしてさらに卵の成長が進むと「MII期(第二減数分裂中期)」に達します。
この時点で、初めて「第一極体」という小さな細胞が放出されます。
※第一極体とは?
卵母細胞が分裂して成熟した卵子をつくる際に、排卵のときに放出されるものです。
第一極体が放出されるということは、卵子が成熟して受精の準備が整ったサインです。
女性の卵子の排卵がはじまるのは、このMII期です。
採卵で回収する卵子は、卵子を包んでいる卵胞サイズ(卵胞径)を目安に決定します。
ただし、複数に卵胞が発育している場合は、すべてが同じスピードで成長するわけではなく、卵胞径にばらつきが生じる場合があります。
採卵日の決定は、主席卵胞(複数の卵胞の中で最も大きく育った卵胞)に合わせて行うため、小さめの卵胞から回収された卵子の中には未成熟卵が含まれている場合があるのです。
また、まれに細胞膜が崩れてしまったり、細胞質が委縮した変性卵子が回収される場合もあります。
採卵は吸引ポンプを使用し卵胞から卵子を吸い取るのですが、この吸引圧に耐えらえず卵子の細胞膜が破れてしまう場合があります。
これは採卵者の技術には関係なく、卵子の状態によります。
採卵ポンプの適切な吸引圧はメーカー推奨のものがあるため、当院でもその範囲内で運用を行っています。
ローズレディースクリニックでは、不妊に悩まれる方々へより良い医療をご提供できるよう、
情報発信にも力を入れ、皆様の治療にお役に立ちたいと考えています。
不妊治療をご夫婦で乗り越えていくための力になれるよう、スタッフ一同努めてまいります。