Recurrent pregnancy loss treatment

不育症治療

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不育症とは

不育症とは、妊娠は成立するが流産や死産を繰り返して元気な赤ちゃんが得られない状態を言い、妊娠の成立自体が得られない不妊症とは定義が異なります。

当院では、お一人、お一人の患者様に最も適した治療提供をするため甲状腺機能、ご夫婦の染色体、抗リン脂質抗体を含む自己抗体、第XII因子、プロテインS等の測定検査、超音波による子宮形態の診断など、一つの検査で断定するのではなく、様々な角度から検査を行ってまいります。

不育症について

流産は妊娠の約15%の頻度で生じるといわれていますが、その頻度は女性の加齢とともに増加します。
不育症と診断された方であっても、70~80%程度の方で妊娠・出産は可能です。但し、詳細の検査を行っていただき、安心して妊娠できる環境を保っていただくためにも適切な治療をおすすめいたします。

流産は、妊娠12週未満の早期流産が90%程度と言われており、後期流産(妊娠12週以降22週未満)の頻度は少ないとされています。
後期流産された場合は、なるべく早めに当院にご相談にいらしてください。
当院では、患者様の症状についてお聞かせいただき、不育症の原因を綿密な検査を行った上で診断、治療へと進めてまいります。

症状

不育症には流産や死産の回数による明確な定義はありませんが、流産を2回繰り返すと反復流産、3回以上繰り返すと習慣流産と呼び、不育症に含まれます。

一人目は特に問題なく出産され、その後流産が続く方もいらっしゃいます。
リスク因子があるのにもかかわらず、一人目を運良く出産された可能性もあります。但し、出産経験のない場合と比較し、リスク因子が見つかる可能性は低いと言われます。
リスク因子が見つからない場合は、偶発的胎児染色体異常によって、流産を繰り返したと判断されます。

原因

不育症の原因は複数ありますが以下が4大原因としてあげられます。

  • 抗リン脂質抗体症候群:妊娠中は血栓症のリスクが高まることが原因となります。
  • 先天的な子宮形態異常:流産率が高いと言われている中隔子宮の処置は大切です。
  • ご夫婦の染色体異常:反復・習慣性流産患者様の2~6%程度どちらかの方に均衡型転座が確認されています。
  • 内分泌異常:赤ちゃんの染色体異常や甲状腺の機能低下等も流産の原因として挙げられています。

妊娠初期の流産の場合、偶発的な胎児(受精卵)の染色体異常が原因であるケースが多く、両親が流産や死産の原因である場合は少ないとされています。
そのため、1度だけの流産でリスク因子を調べる必要は、ほとんどないと言っていいのですが、複数回流産や死産を繰り返される場合はリスク因子が両親のいずれかにあるとも想定されますので検査されることを推奨いたします。

但し、妊娠10週以降の場合は、1回の流産でも母体の要因の可能性があります。
女性側の要因として挙げられるものとしては、前述しましたように子宮形態異常、内分泌異常、凝固異常等があります。

また、厚生労働科学研究班で調査結果では、リスク因子がわからないケースが64%とあり、胎児の染色体異常が偶発的に繰り返されたと考えられています。

不育症と診断された方々の約8割は元気な赤ちゃんを出産されています。
このように様々なケースが考えられます。
ご自身のお身体のことで、ご心配なことや気がかりなこと等、何でも遠慮なくご相談ください。

検査と治療

検査

当院の不育症検査は以下の通りです。

  • 内分泌検査:
    甲状腺ホルモンや血糖値検査などで甲状腺機能・糖尿病等を検査します。
  • 夫婦染色体検査:
    血液検査により夫婦の染色体を調べます。
  • 抗リン脂質抗体:
    抗リン脂質抗体の有無や現在の状態を調べます。
  • 血液凝固因子検査:
    血液凝固因子の第XII因子・プロテインS等の測定をします。
  • 子宮形態検査:
    超音波などで子宮の形態等を確認します。
治療

流産のご経験が一度だけであっても、妊娠10週以降の流産であった場合、不育症の主要な原因のひとつである抗リン脂質抗体症候群の可能性があり、次回妊娠に備えた検査や治療が必要になることがあります。抗リン脂質抗体症候群であると診断された場合、アスピリン療法等の基本的な治療は当院で行い、より専門的医療が必要と判断された場合にはしかるべき専門医療機関をご紹介いたします。

以下は不育症のリスク毎の治療方法となります。

  • 子宮形態異常:
    中隔子宮の場合は内視鏡手術が有効です。
  • 内分泌異常:
    甲状腺機能亢進・低下症は正常機能となってから、糖尿病は十分にコントロールを行ってから妊娠に望みます。
  • 抗リン脂質抗体症候群:
    陽性であった場合、12週間以上の間隔をあけて再検査を行います低用量アスピリンとヘパリンカルシウムが基本的な治療法となり、妊娠中も十分なチェックを行っていただきます。
  • プロテインS欠乏症:
    妊娠10週までの繰り返す初期流産の既往がある場合、低用量アスピリン療法を行います。
    妊娠10週以降の流産・死産の既往がある場合、低用量アスピリン+ヘパリン療法が低用量アスピリン療法より有効という報告があります。
    プロテインS欠乏症・プロテインC欠乏症に対しては、これらの状況を踏まえ、治療の適応を検討します。
  • 第XII因子欠乏症:
    明確な治療方針はありませんが、良好な治療成績が得られているデータから低用量アスピリン療法を行います。
  • 染色体異常:
    夫婦のどちらかに均衡型転座などの染色体異常が発見された場合は、充分な遺伝カウンセリングを受けていただきます。