2026.07.10 不妊治療コラム
■日本卵子学会でPOI・卵巣予備能低下に関する研究発表を行いました
■日本卵子学会でPOI・卵巣予備能低下に関する研究発表を行いました
2026年6月に開催された日本卵子学会において、当院から早発卵巣不全(POI)や卵巣予備能低下に関する複数の研究発表を行いました。特に、一般演題「早発卵巣不全・POR(臨床)」のセッションでは、6演題中5演題が当院関連の発表となりました。POIや卵巣予備能低下に関するテーマについて、医師・胚培養士がそれぞれの視点から報告を行いました。
今回のセッションでは、POIや卵巣予備能低下に関して、主に3つの視点から発表を行いました。
1つ目は、卵子そのものの特徴です。透明帯や囲卵腔といった卵子の形態、また成熟・受精・胚発生の傾向について検討しました。
2つ目は、限られた卵子や胚をどのように培養し、治療につなげていくかという視点です。卵巣予備能が低下した症例における培養液の工夫について報告しました。
3つ目は、患者さんへの支援や治療方針の検討につながるテーマです。凍結卵子の利用状況や、卵胞周囲の血流評価について発表しました。
POIや卵巣予備能低下症例では、採卵できる卵子数が限られることも多く、治療の見通しを立てることが難しい場合があります。そのため、得られた卵子や胚を丁寧に観察し、どのような特徴があるのか、どのような培養成績や治療経過につながるのかを検討することが重要です。
当院では、日々の診療・培養データをもとに、POIや卵巣予備能低下の患者さんに対して、より適切な情報提供や治療支援ができるよう研究を継続しています。今回の発表は、診療の中で得られた知見を整理し、今後の治療成績向上や患者さんへの説明に役立てるための取り組みの一つです。
ローズレディースクリニックでは、今後も医師・胚培養士・スタッフが連携しながら、診療と研究の両面から生殖医療の質の向上に努めてまいります。
■胚培養士の「なぜ?」を研究へ―日本卵子学会シンポジウム講演報告―
2026年6月に開催された日本卵子学会において、当院の胚培養士 斎藤朱里が、シンポジウム「若手研究者の未来:臨床と基礎をつなぐキャリアデザイン」に登壇し、「胚培養士の視点から臨床の『なぜ?』を研究へ ― 大学院進学という選択」をテーマに講演しました。

胚培養士は、患者さんからお預かりした卵子・精子・胚を日々観察し、治療の重要な過程に関わっています。その中では、「なぜこのような受精異常が起こるのか」「卵子や胚の形態にはどのような意味があるのか」「限られた卵子をどのように評価し、治療につなげるべきか」といった疑問に直面します。こうした臨床現場での「なぜ?」をそのままにせず、データとして整理し、研究として検討することで、患者さんへの説明や治療支援に役立つ知見が得られる可能性があります。
今回の講演では、斎藤が胚培養士として臨床に携わる中で研究に関心を持つようになった経緯や、大学院進学を選択した理由、仕事と研究を両立する中で感じた課題などについてお話ししました。
研究や学会活動というと、臨床とは少し離れたものに感じられるかもしれません。しかし、胚培養士にとっての研究は、日々の培養業務の延長線上にあります。卵子・精子・胚を最も近くで観察しているからこそ気づける疑問があり、その疑問を深めることで、よりよい生殖医療につながる可能性があります。
当院では、胚培養士が学び続け、研究や学会発表に取り組める環境づくりも大切にしています。臨床で得られた疑問を研究につなげ、得られた知見を再び患者さんの診療に還元することを目指しています。
ローズレディースクリニックでは、今後も胚培養士を含めたスタッフ一人ひとりが専門性を高めながら、患者さんによりよい医療を提供できるよう努めてまいります。
発表演題リスト
◎シンポジウム6 若手研究者の未来:臨床と基礎をつなぐキャリアデザイン胚培養士の視点から臨床の「なぜ?」を研究へ
▶―大学院進学という選択―
斎藤 朱里
ローズレディースクリニック
◎一般演題8(口演)早発卵巣不全・POR(臨床)
2026年6月6日(土)10:10–11:10 第3会場
座長:河村 和弘 先生 順天堂大学大学院 医学研究科 産婦人科学
▶O-041早発卵巣不全由来卵子にみられる透明帯の二相性変化:菲薄化を示す初期像と多前核受精増加を伴う所見,ならびに無月経期間延長に伴う再肥厚像
名古 満・髙橋友里亜・斎藤 朱里・神岡 絵梨・藤澤 亜美・千野真佑里・小谷田舞音・石塚 文平
ローズレディースクリニック
▶O-043早発卵巣不全症例由来卵子における形態学的特徴および成熟・受精・培養成績の検討
~ICSI施行卵を用いた解析~
斎藤 朱里・名古 満・神岡 絵梨・小谷田舞音・石塚 文平
ローズレディースクリニック
▶O-044卵巣予備能低下症例におけるGM-CSF含有培養液の有効性についての検討
福島 由樹・名古 満・神岡 絵梨・石塚 文平
ローズレディースクリニック
▶O-045早発卵巣不全患者における凍結卵子の利用実態:非POI症例との比較から見える患者支援の重要性
笹森 千春・名古 満・河村 和弘・石塚 文平
ローズレディースクリニック/順天堂大学大学院医学研究科 産科婦人科
▶O-046卵巣機能不全症例における卵胞周囲血流の低下:卵巣予備能依存性と個別化卵巣刺激法への応用
田中 佑佳・井原 基公・石塚 文平・河村 和弘
順天堂大学大学院産婦人科学講座/ローズレディースクリニック
