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2024.11.18 不妊治療コラム

【培養室より】精子調整はどうやっている?精子調整の必要性についてご説明します!

こんにちは、ローズレディースクリニックの培養部です。

施設間によって精子調整の方法は様々ですが、人工授精や体外受精に使用する精子は採取されたままでは使用できず、精子調整を行う必要があります。
今回は当院の精子調整方法と、その必要性についてお話しします。

☆自然妊娠
自然妊娠では、射精された精子が女性の生殖路(子宮頚管 → 子宮腔内 → 卵管 → 卵管膨大部)を辿る過程で、受精に適した良好な精子が選別されます。

☆人工授精、体外受精
人工授精や体外受精において、精子調整の目的は精子の選別をこの過程で行い、受精しやすい環境を整えることです。

まず、人工授精で用いられる「密度勾配遠心法」について説明します。
密度勾配遠心法とは、採取した精液を密度勾配遠心法専用の培養液に重ね、遠心分離機にかけることで、成熟した精子が下の層に沈殿させます。

そして沈殿した精子を洗浄し、培養液で濃縮することで、精子調整液を作成します。

☆なぜ密度勾配遠心法が必要なのか?

1、成熟精子の選別
精液には、未成熟精子や死滅した精子が含まれています。

成熟精子の比重は、1.11~1.12と未成熟精子や死滅精子の比重よりも高いため、この比重の違いを活用し、遠心分離を行うことで成熟精子を効率的に回収します。

2、精漿の除去
精液には「精漿(せいしょう)」という液体成分が含まれています。
精子は、女性の生殖路を通過する過程で、受精能(卵子と受精する能力)を獲得します。 しかし、精漿には【受精能獲得抑制因子(受精能の獲得を抑制する因子)】が含まれているため、密度勾配法で取り除きます。

3、白血球、細菌の除去
精液中の細菌は感染リスクを高めます。そして白血球は活性酸素(不安定で他の物質と反応しやすい性質の分子)を生成して精子に悪影響を及ぼします。
そのため、密度勾配法を用いて、これらも取り除きます。

体外受精では、密度勾配法に加えて「Swim-Up法」を用います。
Swim-Up法では、密度勾配法で回収した成熟精子に培養液を重ね、運動性の高い精子が培養液の上層に集まるのを待ち、回収します。

☆なぜSwim-Up法が必要なのか?
・運動性良好精子の回収
運動性の高い精子は、卵子に到達して受精する確率が高まります。

運動性が低い精子では、卵子に直接精子をふりかける【ふりかけ法】であっても卵子まで辿り着けない場合があります。そのため、運動性良好な精子を回収することが、体外受精の成功率に大きく影響します。

~安全管理~
当院では、精子調整の作業は 1検体 1スペース で行っています。

また、すべての検体や使用する物には患者様の名前とIDのシールを貼り、2人体制で確認しながら作業を進めています。
これにより、取り違えが起きないよう万全の体制で管理しています。

ローズレディースクリニックでは、不妊に悩まれる方々へより良い医療をご提供できるよう、情報発信にも力を入れ、皆様の治療にお役に立ちたいと考えています。
不妊治療をご夫婦で乗り越えていくための力になれるよう、スタッフ一同努めてまいります。