2024.11.26 不妊治療コラム
【培養室より】卵子と精子の受精方法はどんな種類がある?
こんにちは、ローズレディースクリニックの培養部です。
これまで、採卵で得られた卵子と採精した精子がどのように評価・調整されるかについてお伝えしてきました。
今回は精子と卵子を受精させる方法についてご説明します。
精子と卵子を受精させる方法は大きく分けて2つあります。
体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)です。
☆体外受精と顕微授精
・体外受精
体外受精(IVF)は女性から採取した卵子と男性から提供された精子を培養液の中で一緒にし、受精を試みる方法です。
この方法は自然の受精方法(自然妊娠)と同様に精子が自ら泳いで卵子に到達して受精する方法で、多くの運動性が良好な精子が必要になります。
「通常の体外受精(c-IVF/conventional-IVF)」「ふりかけ法」などと呼ばれることもあります。
・顕微授精
顕微授精(ICSI)は細いガラスピペットを用いて精子を直接卵子に注入する方法です。
この方法であれば、卵子1個当たり必要な精子は1つなので、精子の運動性が低い場合や運動精子が少ない場合でも受精を行うことが可能です。
当院では2024年よりPiezo-ICSIと呼ばれる方法を導入しました。
Piezo-ICSIでは先端が平らなガラスピペットを用いて微細な振動によって透明帯や卵子の膜に穴をあけて顕微授精を行うため、従来の顕微授精より卵子に負担が少ないといわれています。
採卵によって卵子がたくさん採れた場合は、体外受精と顕微授精を併用する「スプリット法」を選択することも可能です。
当院では精子の濃度や運動性、卵子の状態や個数、患者様の治療背景を詳細に評価をしてそれぞれの患者様にとって最適な方法を提案します。
☆高い技術力
顕微鏡下で微細な操作を行う顕微授精は高度な技術が必要となります。
当院では熟練した培養士が精密な管理のもとで手技を行っています。
高い受精率を維持するため、技術の研修制度だけでなく、定期的に手技の見直しを行い、卵子や精子に合わせたアプローチについて論文や学会報告などを積極的に取り入れ、技術の研鑽に努めています。
☆徹底した安全管理
精子と卵子を受精させる操作が正確に行われるために、徹底した安全管理体制のもと作業を行っています。
・検体の取り扱い規則
まず、一つの作業スペースで必ず一人の患者様の卵子や精子を取り扱うこととしています。
他の患者様の検体が混在することはありません。
・ダブルチェックシステム
患者様の精子や卵子を扱う際は、必ず2名の培養士で患者ID,患者氏名のダブルチェックを行います。
両者の名前が一致していることを確認した上で受精操作がスタートします。
採卵室への入室時や精子の検体を受け取る際にも必ずお名前を確認させていただいております。
その後の全ての工程でも必ずダブルチェックが行われます。
安全で質の高い治療を提供するために、培養室では培養士の十分な人員配置を行い、研修制度による技術向上、安全管理、環境管理を行っております。
ローズレディースクリニックでは、不妊に悩まれる方々へより良い医療をご提供できるよう、情報発信にも力を入れ、皆様の治療にお役に立ちたいと考えています。
不妊治療をご夫婦で乗り越えていくための力になれるよう、スタッフ一同努めてまいります。