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2024.12.28 不妊治療コラム

【培養室より】精液検査に気温は関係ある?寒い季節に気をつけたいポイント!

こんにちは、ローズレディースクリニック培養室です。
12月に入り、寒さが厳しくなってきましたね。
冷え込む季節は体調管理が大切です。体を温め十分な休養を取りながら、お過ごしいただければと思います。

さて、気温の低下が精液検査の結果にも影響を与える可能性があることをご存じでしょうか?
今回は精液検査の所見に見られる季節変動や、寒い時期に検体をお持ちいただく際の注意点についてご紹介します。

☆季節と精液検査の関連
いくつかの海外の論文では、精子の濃度や運動率は季節によって変動するが報告されています。
海外と気候の差はあるものの、国内でも冬季は夏季と比べて精子運動率が低下することが報告されており(1)、冬場の気温の低下が少なからず治療に影響する可能性もあります。こういった報告から、精液検体の温度管理が注目されています。

☆精液検体の温度管理の重要性
精子の運動性は保存温度や時間経過の影響を受けることが報告されています(2)
この報告では、保存温度が4℃の場合、精子の運動率・生存率は採取3時間後に大きく低下しました。
一方、25℃や37℃で保存した場合、精子の運動率・生存率の低下が軽減され、特に25℃では採取6時間後でも運動性・生存性が最も保たれていました
精液検体の保存温度は低過ぎても、高過ぎてもよくないということがわかります。

☆冬場の精液検体の持参方法
寒い季節に精液検体を持参される際は、以下の点に注意して適切に温度を管理しましょう。

1,検体容器を体に密着させる
容器をコートの内ポケットや肌に近い場所に保管し、体温を利用して温度を維持します。
容器をタオルなどで包むことで外気の影響を軽減することも効果的です。

2,持参までの時間を2~4時間以内に
時間が経過するほど精子の運動率は低下します。可能であれば、採取後できるだけ早くお持ちいただくことをおすすめします。
遠方からお越しの方は、院内の採精室をご利用いただくことも可能です。

☆温め過ぎにも注意が必要
一方で、精子は高温に弱いため、体温以上の温度にさらさないようにしてください。
高温によるダメージは運動性や生存性の低下につながり、体外受精に使用する精子が確保できない場合があります。「冷やしすぎ」だけでなく、「温めすぎ」にも注意しましょう。

☆寒い季節でも安心して検査を
寒さが厳しい時期でも、適切な温度管理を行えば問題はありません。
当院では、患者様が安心して治療に臨めるようにさまざまなサポートを行っております。不安な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
この冬も体調管理とともに温度管理に配慮しつつ、妊娠に向けたステップを一緒に進めていきましょう。

参考:

  1. 佐藤学、中岡義晴、森本義晴.自宅から精液持参する場合,受精方法変更リスクが冬季で上昇する.2019年度学術集会 一般演題(口頭発表).IVFなんばクリニック,HORACグランフロント大阪クリニック.
  2. Suzuki K, Shin T, Shimomura Y, Iwahata T, Onota S, Kobori Y, Miyata A, Okada H. The influence of the storage temperature on the semen parameter: storage at 37 ℃ might not be suitable. Hum Reprod. 2017;32(Suppl 1):i141.