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2025.05.21 不妊治療コラム

受精を助ける方法~カルシウムイオノフォアによる卵子の活性化~

こんにちは、ローズレディースクリニックの培養室です。

顕微授精を行っても、受精卵が得られなかったり、受精率が低かったりすることがあります。
その原因の一つが、卵子の活性化障害です。
このようなケースでは、カルシウムイオノフォアという培養液を使用することで受精率が改善する場合があります。

今回は、カルシウムイオノフォアの働きについてご紹介します!

卵子の活性化とは?

卵子の活性化とは、成熟した卵子に精子が入り、受精が始まるための過程のことです。

精子が卵子に入ると、精子の「PLCζ(ホスホリパーゼCゼータ)」と呼ばれる卵子活性化因子が卵子の細胞質内に放出され、卵子内カルシウムイオン濃度が上昇します。
これにより卵子の活性化が促され受精が進むのです。

カルシウムイオノフォアによる卵子の活性化

顕微授精(ICSI)を行っても、卵子がうまく活性化せず、受精に至らないことがあります。
こうした場合「カルシウムイオノフォア」と呼ばれるカルシウム濃度の高い培養液を使用し、卵子の活性化を促します。

カルシウムイオノフォアは、卵子の細胞膜を通してカルシウムイオンを細胞内に取り込み、卵子を活性化できます


2017年に発表された研究(1)によると、顕微授精後の受精率が低い場合や胚発育がうまくいかない場合に、カルシウムイオノフォアを使用することで、受精率の向上や胚盤胞形成率の改善が期待できることが示されています。

カルシウムイオノフォアを使えば必ず受精するわけではなく、すべての方に有効とは限りません。
そのため、使用するかどうかは担当の医師とよく相談し、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。

受精の過程に不安を感じることもあるかもしれませんが、当クリニックでは、一人ひとりの状況に合わせた最適な方法をご提案いたします。
気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

参考文献
1,Sughashini Murugesu, Srdjan Saso, Benjamin P Jones, Timothy Bracewell-Milnes, Thanos Athanasiou, Anastasia Mania, Paul Serhal, Jara Ben-Nagi, Does the use of calcium ionophore during artificial oocyte activation demonstrate an effect on pregnancy rate? A meta-analysis, Fertility and Sterility, 2017 ;108(3):468-482.