2018.10.10 トピックス
早発卵巣不全(POI) 患者様の不妊治療について
当院はこれまで不可能だと言われてきた早発卵巣不全(POI,40歳未満で閉経後と同じように卵巣が働かなること)患者様の不妊治療に取り組んできました。
昨年の生殖医学会でも報告しましたが、2014-2015年に不妊治療(排卵誘発)開始したPOIで不妊治療希望の患者様の現在までの治療成績のup dateを報告します。
私どもではローズ法と名付けた独自の排卵誘発法を用い、卵胞発育が得られたら基本的に体外授精を行っております。
2014年4月から2015年12月の初診患者様で40歳未満、一年以上無月経の75例の方のうち40例(53.3%)の方から卵子が取れ、31例(43.7%)から凍結受精卵が得られています。これまで12名の方が体外受精にて妊娠され、おひとりは人工授精で妊娠されています。妊娠率は17.3%(13/75)となりました。
これらの患者様のうち3例は流産されましたが、10例はすでに分娩されお子さんを得られておられます。現在も10名分16個の凍結受精卵を保存中でこれらを移植しますとさらに妊娠率は上がることが期待されます。これを考慮しますとこれらの患者様の妊娠率は少なくとも20%近くになるものと思われます。
これまで、POIの患者様では排卵誘発は不可能と言われておりました。また、自然妊娠率は4〜5%あることがわかっておりましたが、そのほとんどは無月経になって一年以内に妊娠されています。私どもが一年以上無月経のPOI患者様で20%の妊娠率を得たのは画期的な成果と言えます。
私どもではPOI不妊症の治療法として原子卵胞対外活性化法(IVA)を世界に先駆けて行っておりますが、わたくしども独自の排卵誘発法に必要な方にはIVAを組みわせることによりさらに高い妊娠率を目指していきたいと思っております。
またご不明な点やご質問などございましたら遠慮なく当医院までお問合せくださいませ。