2018.05.30 トピックス
2018年5月のトピック_治療成績について(4月にご案内した治療成績の簡易版)
当院における治療成績について
2015年~2016年度(簡易版)
当院における治療成績
①一般不妊症例
※体外受精を受けられた方
②卵巣予備能低下(DOR)症例
※AMH測定限界以下を示す方
③重度早発卵巣不全(早発閉経/POF/POI)
※1年以上無月経期間がある方
①一般不妊症例
■対象者:初診時41歳未満 52例
■結果: 臨床的妊娠率 94%
※妊娠反応が検出されたのち、胎嚢を確認するところまで至った妊娠
当院では難治性の不妊症とされる早発卵巣不全に対し培ってきた高い知識、技術を一般不妊の方に駆使することで、一般不妊の治療に関しても、大変高い妊娠成功率を得ています。
② 卵巣予備能低下(DOR)症例
■対象者:初診時41歳未満 48例
AMH測定感度(0.16ng/ml)以下、治療周期あたり30%以上の卵胞発育頻度を示した方
■結果:
卵胞発育率 100%
↓
胚凍結率 85%
※育った卵胞から卵子を取り出して凍結できた確率
↓
・タイミング療法・人工授精での妊娠率 61%
・体外受精での臨床的妊娠率 65%
③早発卵巣不全(POF/POI)症例
■対象者:初診時41歳 50例
早発卵巣不全(定義:FSH30mIU/mL以上、3か月以上無月経、40歳未満発症)のうち1年以上無月経期間を有する重度POFの方々で当院独自の卵巣高刺激を受けた方
■結果:
卵胞発育率 50%
↓
胚凍結率 88%
※育った卵胞から卵子を取り出して凍結できた確率
↓
・タイミング療法・人工授精での妊娠率 61%
・体外受精での臨床的妊娠率 79%
(胚凍結に至った症例 初診までの無月経期間 平均4.1±1.1年)
DOR症例・重度POF症例ともに、当院独自の治療法により、従来では考えられない卵胞発育率・胚凍結率が得られ、また妊娠成立に至ることがわかりました。
このデータより、卵子残存数は同年代の女性と比べて圧倒的に少なかったとしても、良い環境で卵胞発育さえ得られれば、卵子の質は同年代女性と同等程度に保たれていると考えられます。
卵子を取り出すことができ、胚凍結および妊娠成立に導くことが可能であることがわかりました。
また、月経停止からの期間が長くなればなるほど、胚凍結に至る確率、すなわち妊娠に至る確率は低下することがわかりましした。
当院の様々な試みにより、これまで不可能と考えられているPOF不妊に対する治療の道が開けつつあります。されにその手前のいわゆるDOR症例は、単なる軽度のPOFと考えられる症例ばかりではなく、ほかの要因によってさらに妊娠しにくくなっている可能性があります。これはこれまで気づかれなかった新しい見解であり、当院ではこれらの要因の分析を鋭意行っております。
いずれにせよ、AMH値が低下して、お子さんのできにくい方は、できるだけ早期の当院での受診をお待ち申し上げております。