2026.04.21 不妊治療コラム
■ローズレディースクリニック培養室のご紹介(これから培養室へ入職を希望してくださる皆様へ)
■ローズレディースクリニック培養室のご紹介
※これから培養室へ入職を希望してくださる皆様へ
このページでは、培養室の体制や教育方針、日々の取り組み、そして実際に働くスタッフの声をご紹介します。
また私たちの考え方や職場の雰囲気に触れていただき、入職ご希望の方へ入職後をイメージするきっかけになれば幸いです。
培養室主任 名古満(胚培養士歴13年目)
研究業績はこちら(https://researchmap.jp/mnago)をご参照ください。
当院の培養室の様子① 当院の培養室の様子②

ローズレディースクリニック培養室が大切にしていること
当院は、卵巣機能不全(早発卵巣不全、卵巣予備能低下など)を専門的に診療し、多くの症例に向き合う体制を整えている、世界的にも限られたクリニックの一つです。そのため、症例によっては卵子の特徴が一般的な不妊治療で扱う卵子と異なることもあり、得られた卵子一つひとつ丁寧に扱う、個別化した繊細なラボワークが求められます。だからこそ私たちは、工程を丁寧に積み重ねながら、症例特性をふまえた最適な受精戦略と培養環境をチームで考え、安心して任せていただける品質と、治療の成果につながる結果を目指します。
また、結果だけで終わらせず、うまくいった/いかなかったの先にある「なぜ」をチームで振り返り、次の症例へつなげます。小さな気づきも共有し、少しずつでもより良い形に更新し続けることが、患者さんの希望を守ることにつながると考えています。
私たちはそのために、技術面と学術面の両方を磨き続けます。技術は属人化させず、判断の根拠まで言語化して再現性を高める。学術は、臨床で生まれた疑問を整理し、改善として現場へ戻す。日々の臨床に責任を持ちながら、明るく相談しやすい雰囲気をつくる——それが当院培養室の基本姿勢です。
培養室の体制
当院の培養室は胚培養士10名体制で、20〜30代を中心にチームで臨床と改善に取り組んでいます。生殖補助医療胚培養士資格は7名が取得済み、残りのメンバーも取得に向けて準備中です。さらに大学院在籍者が3名(博士1名・修士2名)おり、臨床と学術の両面から成長できる環境があります。※2026年3月時点
【まず知ってほしい3つのこと】
・育成の目安:2年間でICSIまでの習得を目指します
・学術の目安:2〜3年目で学会発表、5〜6年目で論文投稿を目指します
※日本卵子学会認定「生殖補助医療胚培養士」資格は、入職3年目を目安に取得しています
・相談の仕組み:定期MTG+月1回の面談
【1. 技術指導と標準化(再現性を高める)】
当院では、手技ごとに指導担当者を決め、計画に沿って段階的に育成します。各工程を“作業”で終わらせず、根拠と判断を言語化しながら身につけることを重視しています。
一部の手技は動画で振り返り、改善と均一化につなげます。成績も定期的に見直し、良かった点は共有し、課題は整理して次に反映します。個人に抱え込ませず、誰が担当しても一定の品質を提供できる体制を大切にしています。
【2. 学術面のサポート(臨床を改善する力を育てる)】
学術活動で身につくのは、発表の上手さだけではありません。現状を正しく把握し、課題を見つけ、相手に伝わる形で説明し、質疑に対応する——この一連の力は、日々の臨床での判断や小さな改善を積み上げる力につながると私たちは考えています。
当院の培養室では、学術活動を「日々の臨床を良くするための学び」として位置づけています。いきなり研究を任せるのではなく、抄読会 → 統計 → 図表作成 → 発表資料作成の順に段階的に指導します。さらに、院内倫理委員会があり、臨床で生まれた疑問を適切な手続きのもとで検証できる体制を整えています。
【3. 相談とフィードバック(早めに共有して解決する)】
困りごとを抱え込まないために、定期的な培養室MTGに加え、月1回の個人面談を行っています。スキル、ラボワーク、働き方の悩みを早めに拾い上げ、状況を整えます。
私たちが意識しているのは、「変えられることはすぐに動く/変えられないことは前提をそろえる」という考え方です。まずは「今できること」を明確にし、不安を抱え込まずに前へ進める状態をつくります。
さらに当院では、培養室内の共有にとどまらず、医師・看護など他部署も交えた部署間MTGや、クリニック全体での勉強会も行っています。治療の流れを部署横断で理解し、情報をそろえたうえで判断できることが、患者さんの安心につながると考えているためです。現場の疑問や改善案を院内全体で共有しながら、前に進められる環境があります。
日々の技術指導の様子 学会発表に取り組む様子

なぜ、この教育設計にしているのか
当院では、教育を「今の仕事を覚えるため」だけのものとは考えていません。働き続ける中では、結婚・出産・育児・介護など、生活の変化と向き合う時期があります。やりたいことや挑戦したいことがあっても、いつも自分の時間を十分に使えるとは限りません。だからこそ当院では、限られた時間の中でも少しずつ経験を積み、将来の選択肢を広げられるように、早い段階で技術面・学術面の両方に触れられる教育を大切にしています。
日々の培養業務の習得から学術活動の経験を段階的に重ねていくことで、その時々の状況に応じながら、自分の得意なことや進みたい方向を考えやすくなります。
その結果として、技術を深めてスペシャリストを目指すのか、学術的な広がりを追求するのか、教育やマネジメントに関わっていくのかを、自分の意思で選びやすくなります。
私たちは、ライフイベントによって選択肢が狭まるのではなく、どの段階でも「次を考えられる」「自分に合った道を選べる」状態を一緒につくっていきたいと考えています。
求める人物像
当院の培養室が求めるのは、スキルの上手さだけではありません。患者さんの大切な卵子・精子・胚をお預かりする仕事だからこそ、次の二つを重視しています。
- 必要なことを早めに相談・共有できる方
「言わなくても分かるはず」にせず、自分の言葉で状況を伝え、確認できる方。早めの共有が、思い込みや見落としを防ぎ、安心して業務に取り組める土台になります。 - 現状に満足せず、前向きに改善し続けられる方
他のスタッフと協力しながら気づきを行動に移し、課題は事実と提案をセットで共有して、現場を前向きに改善できる方。運用をアップデートすることで、患者さんに安心していただける体制を整えていきます。
見学や業務内容のご説明、オンライン面談も可能です。
ご興味のある方は、採用ページの応募フォームまでご連絡ください。
当院の培養室の理念に共感いただける方からのご応募をお待ちしております。
先輩スタッフの声
実際に働いているスタッフが、当院を選んだ理由や、成長を感じた場面、職場の魅力についてお伝えします。
■胚培養士 M.Cさん(胚培養士歴3年目)
【入職のきっかけ】
大学のOGが当院に勤務しており、大学を通じて新卒募集のメールをいただいたことがきっかけです。入職の決め手は、手技の習得や資格試験に向けた育成環境が整っていると感じたことでした。
【1年目と今で一番変わったこと】
1年目は分からないことばかりで、日々の業務を覚えることで精一杯でした。現在は、「なぜこうなるのか?」と自ら疑問や課題を見つけ、それに対してどのようなアプローチがあるかというところまで考えられるようになりました。
【成長を感じた瞬間】
初めの頃は、先輩方が「後ろで見守ろうか?」と声をかけてくださることが多くありました。徐々に一人で任せていただける業務が増えたときに、自身の成長を実感しました。
【教育体制について】
培養室の先輩方は理論的に物事を考える方が多く、指導も明確で分かりやすいです。月に一度、主任・教育担当者との三者面談があり、ミーティングも定期的に行われています。新人だからといって意見が軽視されることはなく、疑問や不安をすぐに相談できる環境が整っています。
【これから応募する方へ】
胚培養士の業務は地道で、緊張感や責任感も求められます。そのため、大変だと感じることは多々あります。しかし、できる手技が増え、知識が積み重なるほど面白さとやりがいが増える仕事だと思います。新卒でも、分からないことを相談しながら一歩ずつ成長できる環境です。
■胚培養士 E.Kさん(胚培養士歴5年目)
【以前の仕事/転職のきっかけ】
金融関連企業で事務やシステム開発に携わっていました。医療分野に関心があり、胚培養士を知ったことをきっかけに転職を決意しました。
【入職当初に大変だったこと/乗り越え方】
専門用語や知識など初めて学ぶことが多く、理解に時間がかかりました。分からないことは調べ、必ず確認しながら業務に取り組むことで、徐々に任される業務が増えていきました。
【他業種を経験して感じる、この職場の良さ】
疑問点や改善点を培養室スタッフ内で共有し、話し合える機会がきちんとあることです。小さな違和感や気になる点を一人で抱え込まずに済み、チームとしてより良い方法を考えながら進められる環境だと感じています。
また、患者さんはそれぞれ状況や背景が異なるため、画一的に進めるのではなく、その方にとって何が最適な治療かを丁寧に考えながら、チームで関わっていけることも、この施設ならではの魅力だと思います。
【未経験から胚培養士を始める人へのアドバイス】
最初からうまくできる人はいません。不安があるのは自然なことなので、「分からない」を早めに言語化して相談できる人ほど、着実に伸びていきます。
患者さんの大切な卵子・精子・胚を扱う仕事だからこそ、プレッシャーを感じる場面もありますが、うまくいかないことがあっても大切なのは、そこで終わらせずに原因や改善点を整理し、次につなげることです。焦らず、ひとつずつ積み重ねていけば、必ず成長できます。未経験でも、確認と共有を大切にできる方なら伸びていけると思います。
■培養室副主任 A.Sさん(胚培養士歴10年目)
【当院を選んだ理由】
当院は、臨床業務に加えて、医療の発展に向けた研究活動にも積極的に取り組んでいる点に大きな魅力を感じました。日々の診療だけでなく、研究を通して医療の質向上を目指す姿勢に共感し、その一員として成長したいと考えました。また、入職当時は大学院への進学を希望しており、当院には実際に大学院へ通いながら勤務しているスタッフも在籍していたため、学びを継続しながら臨床に携われる環境が整っていると感じました。学び続ける姿勢を大切にしながら、その成果を患者さんへ還元できる医療者でありたいと考え、当院を選びました。
【当院の魅力・強み】
当院の魅力・強みの一つは、業務効率化が図られており、働きやすい環境が整っている点です。基本的に業務は定時内に終了するため、仕事後の時間を有効に活用しやすく、私自身も現在在籍している大学院の授業に無理なく参加できています。他のスタッフもそれぞれ自己研鑽やプライベートの時間を大切にしており、仕事と生活のバランスを取りやすい職場だと感じています。
また、当院のラボでは、月1回の管理職と職員による面談に加え、ラボ全員でのミーティングを実施しており、定期的な対話を通じて業務の進捗確認や課題共有を行い、問題を早期に解決できる体制が整っています。継続的にコミュニケーションを重ねることで、風通しの良いラボ運営が実現できていると感じています。さらに、技術向上のために年に数回ブラッシュアップの機会を設け、受精培養成績や移植結果を比較・分析しながら、より良い方法についてスタッフ同士で意見交換を行っています。院外ワークショップへの参加や学会発表など、学術活動にも積極的に取り組み、論文投稿にも挑戦するなど、専門性を高め続ける文化が根付いている点も当院の大きな強みです。
【この職場で大事にしている価値観】
当院のラボでは、「前向きな姿勢」と「言葉にして伝えること」を大切にしています。いわゆる「察してほしい」というコミュニケーションではなく、必要なことはきちんと言葉にして共有することを意識しています。やってほしいことや改善点を率直に伝え合うことで、誤解や不満が生まれにくい環境づくりにつながっています。
一人ひとりが主体的に発言し、前向きに意見を出し合うことが、ラボ全体の成長と安定した運営につながっていると感じています。
【今後挑戦していきたいこと】
大学院と当院の共同研究に取り組み、基礎的な知見と臨床の実践をつないで、現場の課題解決につながる研究を発展させていきたいです。
