2026.05.29 不妊治療コラム
【お知らせ】「フィネレノン」を用いた不妊治療を開始いたしました
「フィネレノン」を用いた不妊治療を開始いたしました。
ローズレディースクリニックでは、早発卵巣不全(POI)や低AMHでお悩みの患者様へ向けた新たな選択肢として、内服薬「フィネレノン」を用いた不妊治療を開始いたしました。
現在、当院にて治療中の患者様を対象とさせていただいております。 お薬の詳細は、お一人おひとりのお体の状態を見ながら診察室で丁寧にご説明いたします。なお、安全で正確な医療提供のため、お電話でのお薬に関するご質問にはお答えいたしかねます。あらかじめご了承くださいませ。
フィネレノンを用いた新しい治療とは?
フィネレノン(商品名:ケレンディア)は、もともと慢性腎臓病や慢性心不全のお薬として承認されている飲み薬です。 近年、台湾大学、順天堂大学などの研究グループにより、このお薬が早発閉経の不妊治療に有効であることが発見されました。この画期的な発見は、世界的に権威ある科学誌『Science』でも発表され、新聞などのメディアでも大きく取り上げられています。
なぜ不妊治療に効果が期待できるの?
早発閉経の患者様は、卵巣内に卵子のもと(原始卵胞)が残っていても、卵巣組織が硬くなる「線維化」という現象によって、卵胞の成長が妨げられていることがわかっています。
フィネレノンは、体内の特定の受容体の働きを抑えることで、この「線維化」を和らげ、また炎症を抑えます。つまり、硬くなった卵巣の環境を柔らかく整え、眠っていた卵胞が再び成長しやすくなるようサポートしてくれる可能性のある薬です。
対象となる方
以下の条件をすべて満たす方が対象となります。
- 当院で体外受精治療、または妊孕性温存(卵子凍結)を希望されている方
- 卵巣機能不全(POIまたはDORと診断された方、resistant ovary syndromeを含む)で、当院での不妊治療を望まれる方
【ご注意事項】
安全のため、上記の条件を満たしていても、以下のいずれかに該当する方は本治療をお受けいただくことができません。
- 肝・腎機能障害を認める方
- 高カリウム血症を認める方
- 妊娠中の方
- その他、医師がフィネレノンの投与が禁忌であると判断した方
治療方法について
- 本治療、ならびに治療に必要な事前の検査等は、全て自費診療となります。
- 安全性を確認するため、事前検査として肝機能(AST, ALT, LD, γ-GT)、腎機能(BUN, クレアチニン)、血中カリウム濃度、血圧を測定いたします。
- 適応が確認できましたら、フィネレノン20mg 1錠を規定量、内服していただきます。
- フィネレノンは小さな卵胞の発育を促しますが、採卵に向けて大きな卵胞へと成熟させるためには、当院の「ローズ法」による卵巣刺激が必須となります。
- 安全にご服用いただくため、内服開始の1ヶ月後および6ヶ月後に、副作用の有無を確認する検査を実施いたします。
ご理解いただきたいリスクと限界
新しい治療の選択肢であるからこそ、リスクや限界についても事前にお伝えいたします。
本治療のリスク
- 副作用として、高カリウム血症、腎機能低下、低血圧などが報告されています。そのため、内服中は定期的な検査が必須となります。
- 胎児への安全性が確立されていないため、胚移植の周期、ならびに妊娠中の服用はできません。
- 本剤の安全性については、腎臓内科の専門医と連携し、しっかりと確認を行っております。
- 万が一、有害事象が発生した場合には、速やかに保険診療に切り替え、必要に応じて高次医療機関(国立医療センター等)へご紹介する体制を整えています。
本治療の限界と不確実性
- フィネレノンは「すでにある小さな卵胞の発育を促す」お薬であり、新たに卵胞を作り出す作用はありません。そのため、卵胞が完全に失われている重度の卵巣機能不全の方には効果が期待できません。
- しかし、当院では日本でもなかなか測れない、高感度AMHの測定を試行しており、通常の測定法ではAMH測定不能の方でも本治療の対象となるか否かを測定いたします。現在の医学では「卵胞が完全に喪失しているか」を正確に診断することは困難です。重度の卵巣機能不全の方で本治療をご希望される場合でも、まずは医師へご相談ください。
- 本治療は、生殖年齢の女性への使用に関する十分なデータや、妊娠・胎児への影響について、まだ不確実な部分を残しています。そのため、妊娠の可能性がある時期や胚移植周期には、絶対に使用いたしません。
費用
フィネレノン(商品名:ケレンディア)20mg 1錠:2,000円(税別)
ご予約について
不妊治療のご予約はこちらのフォームまたは、お電話(03-3703-0115)にて承っております。
