2026.10.06 不妊治療コラム
■世界最大級の生殖医療学会「ESHRE」で研究発表を行いました
イギリス・ロンドンで7月に開催されたESHRE(European Society of Human Reproduction and Embryology:ヨーロッパ生殖医学会)に参加し、研究成果を口頭発表する機会をいただきました。
ESHREは、生殖医療・不妊治療分野では世界最大級の国際学会です。
毎年、世界中から2,000件を超える研究演題が応募され、その中で口頭発表に選ばれるのは約1割の演題のみです。
各国の研究者や医療従事者が最新の知見を発表し、活発な議論が交わされる場であり、今回その一員として発表できたことを大変光栄に感じています。

今回発表したテーマは、「高感度AMH測定と卵胞発育の関係」についてです。
早発卵巣不全(POI)は、40歳未満で卵巣の働きが低下し、卵胞が育ちにくい状態になります。
2024年に改訂された国際ガイドラインでは、現在のところ卵巣機能を確実に回復させる治療法はなく、妊娠を希望する場合には卵子提供が確立された選択肢として位置付けられています。
一方で、卵巣機能が完全に失われているわけではなく、卵胞が発育することもあります。
ご自身の卵子で妊娠を希望される患者様も多く、卵胞発育の可能性をより正確に見極める方法が求められています。
私たちの研究では、従来の検査では測定できないほど低いAMHを測定できる「高感度AMH」を用いることで、ごくわずかなホルモンの変化を捉えられる可能性を検討しました。
その結果、高感度AMHが一時的に上昇する「スパイク」が認められた患者様では、その後に卵胞発育や採卵へつながる可能性が高いことが分かりました。
これは、患者様ご自身の卵子で、治療を進められる可能性を予測する新たな手がかりになることが期待されます。
発表後には多くの海外研究者や医療従事者から質問や意見をいただき、このテーマへの関心の高さを実感しました。
世界中の専門家と意見を交わすことで、研究の意義を再確認するとともに、今後さらに検証を重ねていく重要性も感じました。
当院では、日々の診療だけでなく研究活動にも積極的に取り組み、その成果を世界へ発信しています。
これからも最新の知見を臨床へ還元し、患者様一人ひとりにとってより良い治療につながるよう努めてまいります。
