IVA
当院では、新しい不妊治療である原始卵胞体外活性化法(IVA:in vitro activation)を行なっています。
私どもの開発してきた、早発卵巣不全(POI)のホルモン療法+排卵誘発法では、これまで不可能と言われた早発卵巣不全の患者様の多くで妊娠が達成されてまいりましたが、IVAを用いることにより一部の患者様ではさらに効率よく多くの卵子が獲得でき、妊娠率の上昇が期待されます。
IVAはまた、卵巣機能の低下した高齢(46歳未満)の不妊患者様で、一般の体外受精等でなかなか妊娠成立しない患者様に有効です。多くの海外の患者様も当院をご受診されております。
早発卵巣不全における不妊治療はIVAを用いるか否かにかかわらず、早期に開始するほど成功率が高く、一つの目安となる無月経期間が長くなればなるほど長く厳しい治療が必要となります。
お子さんを望む患者様で月経が不順な方、血中FSH(卵胞刺激ホルモン)値が高いと言われた方、AMH(抗ミュラー管ホルモン)が低いと言われた方は、それぞれ時間の経過とともに妊娠が難しくなる傾向があるため、無月経となっていなくてもできるだけ早く当院を受診していただくことをお勧めいたします。
数か月の差がその後の治療の成功率、治療の困難さに大きく影響いたします。 当院の治療が少しでも多くの不妊に悩む皆様のお役に立てるよう、全力を尽くす所存です。
IVAとは、体外活性化(in vitro activation)のことで、体外に取り出した卵巣組織にある操作を加え、卵巣内にある卵子(発育開始前の原始卵胞)を体外で成長開始させ、自身の体内に戻す新技術で、1978年の体外受精、1990年代の顕微授精に次ぐ不妊治療の革命と期待される治療法です。
IVAには3種類の方法があります。
当院で行なっているIVAの治療フローは
下記の通りです。
片方の卵巣を摘出して皮質部分を急速凍結します。
一部の症例ではその際、皮質部分を原始卵胞の確認用に一部をカットしておくこともあります。
片方の卵巣を摘出・凍結
凍結保存しておいた卵巣を解凍し、皮質部分を細かく切片化します。この状態にすることで原始卵胞の活性化が大きく進みます。
フラップに分けて凍結してある卵巣を解凍、
皮質部分を細かく切片化
切片化した卵巣を培養液へ。液中には、原始卵胞の発育を促す成分が含まれています。2日後に卵巣切片を取り出して卵管へ移植します。
切片化した卵巣を2日間培養
培養した複数の卵巣切片を、十分な間隔をおいて卵管表面付近へ配置します。この卵巣切片が含まれる原始卵胞が卵管で卵子へと発育していきます。成熟した卵子は再び体外へ取り出され、体外受精に用いられます。
②fresh IVAでは、摘出した卵巣皮質を凍結せずただちに細切し、IVA培養後移植します。
③即日移植は、卵巣皮質を切除後ただちに細切し、培養せずに移植します。
卵管で発育、体外受精へ
IVAは、卵巣機能が低下した方々に対して有効な治療法です。
最も典型的な卵巣機能が低下した例としては、早発卵巣不全の患者様があげられます。
卵巣予備能の低下している方でも、ある程度の卵胞の数が残っていれば、通常の排卵誘発が無効な方でもIVAという新技術により、卵胞を発育させることができるようになります。 上記に記載したIVA(原始卵胞体外活性化法)の①〜③の方法のどれを行うかは、患者様の卵巣機能に合わせて判断します。
IVAは卵子を作り出す方法ではありません。従って、卵胞が残っていない方には有効な治療法ではありません。
IVA治療を受ける数週間前より前処理のホルモン療法が必要となります。
IVA手術の当日に入院していただき、翌日に退院となります。
1回の治療期間については、1ヵ月間程度とお考えください。
料金は、1回のIVA治療に要するホルモン療法、手術・入院費用は含まれており税込みの価格となります。
60万円~140万円
当院では、細心の注意を払いすべての治療・手術にあたっております。 但し、IVA治療は腹腔鏡下手術による治療のため以下のリスクが考えられます。 しかし、当治療について、これまで副作用・リスクの報告はされておりません。
・皮下気腫
・術後出血
・術後感染