2026.10.13 不妊治療コラム
不妊治療と仕事は両立できる?採卵・胚移植で仕事を休めないときの対策

「不妊治療を始めたいけれど、仕事を休めない」
「採卵の日が急に決まったら、職場にどう伝えればいい?」
「胚移植をした日は、仕事を休んだほうがいい?」
不妊治療を始める際、このように仕事との両立に不安を感じる方は少なくありません。
特に体外受精では、卵胞の発育状況などによって通院日や採卵日が変わることがあります。
そのため、治療を始める前からすべての予定を確定させることが難しい場合があります。
一方で、治療の方法や通院の仕方を工夫することで、仕事を続けながら不妊治療を受けることも可能です。
この記事では、採卵や胚移植と仕事の両立について、休む必要があるケースや、仕事を続けながら治療を進めるためのポイントを解説します。
この記事のポイント
- 不妊治療では、治療内容によって通院日が変動することがあります
- 採卵日は卵胞の発育状況によって直前に決まる場合があります
- 採卵後に仕事へ戻れるかどうかは、体調や仕事内容などによって異なります
- 胚移植後は、必ずしも安静にして仕事を休む必要があるわけではありません
- オンライン診療などの活用で通院の負担を減らせる場合があります
- 職場の制度や「不妊治療連絡カード」を利用する方法
不妊治療と仕事の両立が難しい理由
不妊治療と仕事の両立が難しい理由の一つが、治療の予定をあらかじめすべて決めておくことが難しいことです。
タイミング法や人工授精でも排卵の時期に合わせた通院が必要になりますが、体外受精では卵巣刺激、採卵、受精・培養、胚移植など、複数のステップがあります。
特に採卵では、卵胞の発育を確認しながら採卵日を決めるため、「1か月前から採卵日を確定しておく」ということが難しい場合があります。
そのため、
- 急に休みが必要になる
- 通院回数が増える
- 半休や時間休を何度も取得する
- 上司や同僚に治療について説明する必要がある
といったことが、仕事との両立における負担になりやすいのです。
厚生労働省も、不妊治療を受けながら働き続けられる環境づくりに向けて、企業向けのマニュアルや労働者向けのハンドブック、不妊治療連絡カードなどを案内しています。
採卵日は仕事を休まなければいけない?
「採卵の日は必ず1日休まなければいけない」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、採卵後に仕事へ戻れるかどうかは、採卵方法、麻酔の有無、体調、仕事内容などによって異なります。
デスクワークなど身体的な負担が比較的小さい仕事であれば、採卵後に仕事へ戻れるケースもあります。
一方で、
- 採卵後に体調がすぐれない
- 静脈麻酔などを使用した
- 通勤に時間がかかる
- 立ち仕事や力仕事など身体的な負担が大きい
- 採卵数が多い
- 採卵後に痛みや出血などがある
といった場合には、無理をせず休むことをおすすめします。
採卵後の過ごし方については、実際の治療内容や当日の体調を踏まえて、医療機関の指示に従うことが大切です。
なぜ採卵日は直前まで決まらないことがあるの?
体外受精で仕事との調整が難しくなりやすい大きな理由が、採卵日が卵胞の発育状況によって決まることです。
卵巣刺激を行う場合、超音波検査などで卵胞の大きさや発育状況を確認しながら治療を進めます。
卵胞が十分に発育したタイミングで排卵をコントロールする薬を使用し、その後、適切なタイミングで採卵を行います。
卵胞が育つスピードには個人差があるため、治療開始時点では採卵日を正確に決められない場合があります。
そのため、「来週のどこかで採卵になる可能性がある」というように、ある程度幅を持たせて仕事の予定を考えておくことも重要です。

仕事を続けながら採卵するためにできること
不妊治療と仕事を両立するためには、治療そのものだけでなく、通院方法を工夫することもポイントになります。
オンライン診療・電話診療を利用する
医療機関によっては、治療内容に応じてオンライン診療や電話での診察に対応している場合があります。
すべての診察をオンラインにできるわけではありませんが、通院が必要な診察とオンラインで対応できる診察を分けることで、仕事への影響を抑えられる場合があります。
ローズレディースクリニックでも、遠方から通院される方などを対象に、状況に応じてオンライン診療などを取り入れています。
仕事の予定を詰め込みすぎない
採卵が近づいてきたら
- 重要な会議
- 外せない出張
- 長時間の外出
- 代替が難しい業務
などをできるだけ集中させないようにしておくと、急な予定変更に対応しやすくなります。
職場で調整できるのであれば、「採卵の可能性がある期間だけ予定を少し空けておく」という方法もあります。
胚移植の日は仕事を休んだほうがいい?
採卵と比べると、胚移植は仕事との両立を考えやすい治療の一つです。
胚移植後だからといって、必ず自宅で安静にして過ごさなければならないわけではありません。
通常の日常生活を送りながら過ごせるケースもあります。
ただし、胚移植当日の診療時間や移植後の体調には個人差があります。
また、クリニックによって受付から移植までの流れや所要時間も異なるため、仕事の予定を入れる場合は、事前に医療機関へ確認しておくと安心です。
胚移植の日程は事前に決められる?
凍結胚を移植する場合、ホルモン補充周期など治療方法によっては、ある程度前もって移植日を設定できます。
そのため、採卵と比べると仕事の予定を調整しやすいケースがあります。
ただし、子宮内膜の状態などによっては、予定していた胚移植を延期することもあります。
「この日に必ず移植できる」と最初から考えるのではなく、変更の可能性も含めて仕事の予定を調整しておくことが大切です。
不妊治療を職場にどう伝える?
不妊治療をしていることを職場に伝えるかどうかは、とても悩ましい問題です。
すべての人に伝える必要はありません。
一方で、急な休みや勤務時間の変更が発生する可能性がある場合は、直属の上司や人事担当者など、必要な範囲に限って伝えておくことで、仕事の調整がしやすくなる場合があります。
伝える際には、「不妊治療をしています」と治療内容を詳しく説明する必要はありません。
例えば、「通院のため、今後急なお休みや勤務時間の変更をお願いする可能性があります」と、仕事への影響を中心に伝える方法もあります。
「不妊治療連絡カード」という方法も
職場に不妊治療について伝えることに抵抗がある場合は、厚生労働省が作成している「不妊治療連絡カード」を利用する方法があります。
不妊治療連絡カードは、不妊治療を受けていることや、仕事との両立に必要な配慮について、企業側に伝える際に活用できるツールです。
「上司に自分の言葉で詳しく説明するのが難しい」という場合には、こうした公的なツールを利用することも選択肢の一つです。

厚労省:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30b.pdf?utm_source=chatgpt.com
会社の制度も確認してみましょう
企業によっては、不妊治療と仕事の両立を支援するため、
- 不妊治療休暇
- 時間単位の有給休暇
- フレックスタイム制度
- 時差出勤
- テレワーク
- 短時間勤務
などの制度を設けている場合があります。
制度の有無だけでなく、「採卵など急に日程が決まる通院にも利用できるのか」「半日ではなく時間単位で取得できるのか」
など、具体的な利用条件まで確認しておくとよいでしょう。
厚生労働省も、不妊治療と仕事の両立を支援するため、企業向けの制度整備や労働者向けの情報提供を行っています。
不妊治療のために仕事を辞める前に考えたいこと
不妊治療と仕事の両立が難しくなると、「もう仕事を辞めたほうがいいのでは?」と考えることもあるかもしれません。
もちろん、働き方を変えることも大切な選択肢の一つです。
ただ、退職や休職を決める前に、
- 今の会社で利用できる制度はないか
- 時短勤務やフレックスは利用できないか
- テレワークは可能か
- 有給休暇を時間単位で取得できるか
- 通院しやすいクリニックに変更できないか
- オンライン診療を利用できないか
など、一度整理してみることをおすすめします。
「仕事を続ける」か「治療を優先して仕事を辞める」かの二択ではなく、治療期間だけ働き方を調整するという方法もあります。
不妊治療と仕事の両立で大切なのは「無理をしすぎないこと」
不妊治療では、身体的な負担だけでなく、仕事の調整や周囲への説明など、目に見えにくい負担も積み重なります。
「できるだけ職場に迷惑をかけたくない」「仕事を休みたくない」
という気持ちは自然なものですが、治療と仕事の両方を完璧にこなそうとすると、負担が大きくなってしまうことがあります。
治療方法や通院方法にはさまざまな選択肢があります。
仕事の状況や生活スタイルも含めて医師に相談し、自分に合った治療スケジュールを考えていくことが大切です。
よくある質問
Q. 採卵の日は必ず仕事を休む必要がありますか?
必ずしも1日休まなければならないわけではありません。
ただし、採卵方法、麻酔の有無、採卵後の体調、仕事内容などによっては、仕事を休んだほうがよい場合があります。
採卵当日の予定については、治療を受ける医療機関に事前に確認しましょう。
Q. 採卵後に仕事をしても大丈夫ですか?
体調や仕事内容によっては可能な場合があります。
一方で、痛みや出血がある場合、身体的な負担が大きい仕事の場合などは、無理をせず休むことが大切です。
Q. 胚移植後は安静にする必要がありますか?
胚移植後だからといって、必ず安静にして仕事を休まなければならないわけではありません。
ただし、医療機関から個別に指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
Q. 採卵日はいつ決まりますか?
卵巣刺激を行う場合、卵胞の発育状況などを確認しながら採卵日を決定します。
そのため、治療開始時点で採卵日を正確に決められない場合があります。
Q. 不妊治療をしていることを職場に言わなければいけませんか?
必ずしも職場のすべての人に伝える必要はありません。
ただし、急なお休みや勤務時間の変更が必要になる場合は、直属の上司や人事担当者など、必要な範囲に相談しておくことで調整しやすくなる場合があります。
厚生労働省の「不妊治療連絡カード」を利用する方法もあります。
まとめ
不妊治療と仕事の両立では、治療そのものだけでなく、「いつ休みが必要になるのか分からない」ということが大きな負担になる場合があります。
特に体外受精では、卵胞の発育状況によって採卵日が変わることがあるため、仕事の予定を完全に先まで固定することが難しいケースがあります。
一方で、
- オンライン診療を活用する
- 通院しやすい医療機関を選ぶ
- 職場の休暇・勤務制度を確認する
- 必要な範囲で職場に相談する
- 不妊治療連絡カードを利用する
など、負担を減らす方法もあります。
不妊治療と仕事のどちらかを諦める前に、まずは現在の働き方や治療スケジュールについて医師に相談してみてください。

では、不妊治療だけでなく、早発卵巣不全(POI)や卵巣機能低下に対する診療、体外受精、卵子凍結など、患者様の状態に合わせた生殖医療を行っています。
遠方から通院される方へのオンライン診療なども含め、生活背景を考慮しながら治療方法を検討しています。
「仕事を続けながら不妊治療をしたい」という方も、まずはご自身の状況を医師にご相談ください。
▷03-3703-0114▷ご予約方法
お電話:03-3703-0115
予約フォーム:https://roseladiesclinic.jp/reservation/contact/entry1/
